過去の苦しい体験との「再会」:その時、自分はどう在るか

人生を生きていると、誰かとの間で直接起きた、極めて苦しい出来事の体験を持つことがあります。
その記憶は、時に自分を深く傷つけ、日常に影を落とします。

その人物から距離をとり、接しないように心がけていたとしても、不思議な巡り合わせや、まるで「運命のいたずら」とでも言えるような流れで、再びその流れが交差し、対峙せざるを得ない瞬間が訪れることがあります。


蘇る記憶と身体の反応

その瞬間、自分の内側では何が起こるでしょうか。

当時の苦痛な記憶が鮮明に蘇り、同時に、動悸や緊張といった身体反応が引き起こされるかもしれません。
それは、自分の心が過去の痛みから自分を守ろうとする、本能的な防衛反応です。

このとき、目の前には二つの選択肢が生まれます。

  1. 回避する: その場から離れ、接触を避け、過去の痛みに巻き込まれることを防ぐ。
  2. ありのままの自分で接触する: 恐れや動揺といった感情も否定せず、今の自分としてその状況に立ち向かう。

どちらを選ぶかは、自分自身の決定に委ねられています。どちらの選択にも、その時々の自分にとっての正当な理由があります。


「どう在るか」が未来を導く

ここで重要なのは、自分が「その時にどう在るか」です。

回避を選ぶことは、自己保護であり、時には必要なことです。しかし、もし「ありのままの自分で接触する」ことを選んだなら、それは大きな一歩となります。

それは、過去の出来事に支配された自分ではなく、「今の自分」としてその体験を上書きするチャンスです。恐れや不安があることを認めつつ、「過去とは違う自分」として振る舞うのです。

この瞬間に、自分が過去のトラウマに引っ張られるのか、それとも現在の自分の意志と成長を基点とするのか、という大きな分かれ道が生まれます。

自分の「どう在るか」という自己決定が、その後の時の流れのままに、自分自身を未来へと導いていく力となるでしょう。