間(あいだ)を大切に扱うということ

私たちは日々の生活の中で、さまざまな物事に「これは○○だ」「これは××だ」と無意識のうちにラベルを貼って、白黒つけようとしてしまいます。しかし、世の中はそんなに単純なものではありません。例えば、「気分は重いけれど、病気というほどではない」「憂鬱だけど、うつ病とまではいかない」といった、はっきりしない“あいだ”で揺れ動く感情に悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

この「あいだ」は、どちらでもない「無」の状態ではなく、れっきとした「在る」状態です。

あいだに目を向ける

私たちの心や、人との関係性は、常に変化し続けるグラデーションのようなものです。はっきりとした線引きがあるわけではなく、多種多様な質感が重なり合ってできています。

この「あいだ」をどう捉えるか。

そこにないものとして無視するのではなく、「確かにあるもの」として捉えること。どちらか一方に決めつけずに、その揺らぎを受け入れること。それが、自分自身や他者との関係性を深く理解する第一歩です。

「人間」という言葉が示すもの

「人間」という言葉は、「人と人の間」と書きます。この言葉が示すように、私たちはお互いの「あいだ」に存在しています。そして、その「あいだ」をどうつなげていくか、その「質」をどう扱うかによって、人との関係性は一瞬一瞬変化していきます。

これは、自分自身との関係性にも同じことが言えます。

自分と向き合うとき、自分の中に存在する揺らぎや曖昧な感情を「無」として片付けてしまうのではなく、丁寧に、大切に扱うこと。その「あいだ」に何が在るのかを注意深く観察し、受け入れていくこと。そうすることで、自分自身との関係はより豊かなものになるでしょう。

あいだを「無」にしない

私たちは、日々さまざまな情報や感情が行き交う中で生きています。すべてを「こうだ」と決めつけたり、安易に「そうだ」と流されたりするのではなく、一つひとつの出来事や感情の「あいだ」に丁寧に触れること。

「そのあいだには、何が在るのだろう?」と問いかけ、その本質を深く見つめていく。

これこそが、自分を、そして他者を深く理解するために、私たちが真剣に取り組むべきことなのではないでしょうか。


この文章を読んで、「あいだ」という視点から物事を捉え直してみよう、と感じていただけたなら嬉しいです。ぜひ、あなた自身の「あいだ」を見つめる時間を大切にしてみてください。