励ましは無情になる時がある。。。

20代の頃、私は自分なりに精一杯努力し、あらゆる手を尽くして困難を乗り越えようともがいていました。しかし、心は限界を迎え、ついにポッキリと折れてしまったんです。診断はうつ状態と不安障害。休職を余儀なくされました。

そんな絶望の淵にいた私に、母がそっと差し出してくれた一冊の本。そのタイトルは「負けてたまるか」。そして、母から添えられた言葉は「頑張れ」。

その瞬間、私の心に湧き上がったのは、怒りにも似た感情でした。
「こんなに頑張って、もう擦り切れてボロボロになっているのに、まだ『頑張れ』って言うのか! なんでわかってくれないんだ!」
絶望と怒りが同時に込み上げ、励ましなど一切欲しくない、むしろ拒絶された方がマシだとさえ感じました。

人は、苦悩の辛さや痛みを誰にも分かってもらえない時、その痛みはより一層増してしまうものです。

しかし、もし誰かが今の自分の状態を心から理解し、深く共感してくれたなら。
「自分を受け取ってもらえた」と感じる体験こそが、再び自分らしく生きる道を開き、その道を自らが照らし始めるきっかけになるのだと、私は思います。

あの時の母の「頑張れ」は、私にとっては理解されない苦しみでしたが、今振り返れば、母なりの精一杯の励ましだったのかもしれません。そして、その経験があったからこそ、私は「理解されること」の重要性を深く学ぶことができました。

あなたの心が今、どんな状態であろうと、一人で抱え込まないでください。あなたの痛みや苦しみを理解し、受け止めてくれる人は必ずいます。