伝えたい。「助けて」を求めることは、決して悪いことじゃない

僕は、前職の消防士として多くの現場に立ち会ってきました。その中で、現役時代には立場上なかなか口にできなかったけれど、今だからこそ皆さんに伝えたいことがあります。

それは、「助けて」と言うことは、決して悪いことではなく、私たちが生きていく上で必要不可欠なことだということです。

心からの「助けて」という声を聞いた時、「嫌です。あなたを助けません」と言う人に、私は出会ったことがありません。それなのに、私たちは時にこんな風に考えてしまいがちです。

  • 「助けてくれる人なんて誰もいない…」
  • 「何でも自分でなんとかしなきゃ…」
  • 「助けを求める自分は力不足だ…」
  • 「弱みを見せることになる…」
  • 「助けてくれる相手に申し訳ない…」

こうした思い込みの結果、「助けて」の一言が言えずに、一人で困難を抱え込み、そして最悪の事態へと自らを追い込んでしまう現実が、私には本当に耐えられません。

もし何かを「越える」のであれば、それは逆の方向です。「言えない」という壁を越えて、心からの「助けて」をどうか声に出してほしい。

「助けて」は悪いことじゃない。生きる上で必要なことです。

私たちは誰一人として、自分一人だけで生きているわけではありません。目に見えるところでも、目に見えないところでも、互いに助け合いながら生きているんです。

命があるということは、「自分のためだけに使えばいい」という意味ではない。私はそう強く信じています。