傷跡は美しさに変わる
自分に成っていく「金継ぎ」の心と器
形あるものはいつか壊れると言われますが、それが自分にとって替えのきかない一点ものだったとき、そのショックをすぐに受け入れるのは難しいものです。
傷ついてしまった器、割れてしまった器を前にして、自分はどう向き合うべきなのでしょうか。
処分するか、それとも繋ぎ合わせるか
壊れてしまったものを、潔く処分するという選択肢もあります。しかし、そこには積み重ねてきた思い出や、その器でしか味わえない温もりがあったはずです。
壊れたからといって、その存在価値がゼロになるわけではありません。金継ぎという技法で再び繋ぎ合わせる道を選んだとき、そこには新しい物語が始まります。
傷を隠したいという葛藤
傷跡を見て、悲しみが蘇ることもあるでしょう。傷を無かったことにしたい、元通りに戻したいと願うのは、自分自身の心を守ろうとする自然な感情です。
無理に前を向く必要はありません。 今はまだ、その傷を直視できなくてもいいのです。
- 欠片を大切に集めておく
- 自分のペースで修復を始める
- 傷跡を隠さず、あえて金で彩る
金継ぎは、壊れた箇所を隠すのではなく、むしろそこを際立たせることで新しい価値を生み出します。
いつか「美しい」と思える自分へ
自分で繋ぎ合わせたその器は、以前の姿とは異なります。金色の筋が走り、いびつな部分もあるかもしれません。
しかし、時が流れて、その傷も含めて自分の一部だと受け入れられる日が必ず来ます。苦しみや悲しみを乗り越えて修復した跡こそが、他にはない強さと輝きを放つのです。
自分の歩んできた道のり、刻まれた傷跡。 それらを否定せず、慈しむことができたとき、その器は以前よりもずっと深く、気高い美しさを纏っているはずです。

